ゴールはいつも、どこかに隠れている

鈴木:今日は、「企画のゴール設定」をテーマに、話したいと思います。

どんな仕事でも、仕事の一歩目というのは「ゴールを設定すること」だと思ってるのだけど、私はこれが本当に苦手で。

一方で、福田はそれがとても上手いよね。そこで、どういうふうに思考してゴールを決めているのか?ということを聞いてみたいなと。

福田:まずベースとして、「ゴールはいつも、どこかに隠れている」と思っている。

課題も、解決策も、ゴールも、表立ってはいないけどいつも既に存在している。ただ、それを上手く認識できていなかったりとか、間違えて捉えていたりするケースもある。

だからそれをきちんと見つけにいくことが大切なことだよね。

企画の初期段階だと、自分自身でも、問題をしっかり把握できてなことがあるし、そうした場合は、ゴール設定も間違えるから。

選択肢を増やす

鈴木:ゴールは存在しているけど、正しく認識できているとは限らないということか。

では、正しいゴールや、課題や解決策を見つけるにはどうしたらいいんだろう。

福田:「選択肢を複数持つ」ことは大切だと思う。ゴールになりうるものや、課題の種類、解決策の方法論などをたくさん知っていると正解をみつけやすい。

多くの人はそれほど選択肢を持っていなくて、少ない中から自分の得意なカードを出して決め打ちをしようとする。そうすると間違った解決策を選択しがちだよね。

それに対して俺は、「もっと選択肢はあるだろう」と思って、ゼロから出したり、何かを掛け合わせたりしている。

鈴木:福田が普段良く使うロジックツリーもその1つだよね?

福田:ロジックツリーを作る目的は、曖昧模糊としている状態を明確にすること。だから漠然とした状態から「何が問題になっているか」「もっと成功するためには」など、ブレークダウンしていく時には便利だよ。

隠れたゴールの探し方

鈴木:ゴールとは「この企画で大切なことはこれ」「ここにたどり着かなくてはいけない」という企画のセンターピンのようなものだと認識してるんだけど、これを定義するの本当に難しい。

ゴールを見つけるのには、努力がいるのかな?

福田:努力だけでは難しくて、思考の柔軟性が必要。「ゴールはこれだ」という思い込みが強くなくて「こうかもしれないし、こうではないかもしれない」と考えられる人が、良いゴールを最終的に見つけられるんだと思うな。

膨大な選択肢を出してから1つをピックアップする

鈴木:ところで、同じゴール設定でも、クライアントワークとオリジナルの仕事では難易度が違うと感じているんだよね。

誰かに依頼された方が簡単で、「現状がこうだから、これを達成するためにこういうゴールを設定しよう」と見えやすい。ただ、自分がゴール設定をゼロベースで考えるときは本当に難しい。

福田:クライアントワークの場合、誰かが何かやりたいということに対して、整理をする作業になるからじゃないかな。すでにあるものに対して、きちんと整理をしたらいい。

でも自分たちの仕事は、「何をしたいのか?」ということや、強い想いみたいなものを持たないといけないから難しいんだと思う。

クライアントワークは、おおよそのゴールが決まっていて、その最適化を見つけるプロセス。一方で、オリジナルの仕事は、新しいゴールを見つけるプロセスなのかもしれない。

鈴木:仕事で白紙に点を打つのは本当に難しい。「ここで間違えたら、あとは努力しても上手くいかない」という厳しさと怖さもある。

福田:それをクリアするのが、前回話題に出た選択肢の話だと思う。何がゴールかわからない以上、あらゆる角度から考えないといけないからね。

鈴木:そうか。よく、企画を作るときにデザインイメージを複数出して、ゴールに近づけるというプロセスがあるけど、ゴール設定についてもこういうやり方をしてもいいってことなのかもな。

福田はゴール設定が上手いと思うけど、それでも最初からわかっているわけではなくて、選択肢を出してそこから選ぶというプロセスを経ているということだね。

福田:そうだね、膨大な選択肢の中から1つを選ぶということを、他の人よりたくさんやっていると思う。

選ぶときも最初から1つに決め打ちするというより、1~2個ピックアップして「どっちかなんだよな」って思いながら進む感じかな。

ある程度まで絞り込めたら、あとクライアントワークと同じでほこりをはたきながら前に進めばいいだけの話だから、あまり心配せずに作り始められる。

やす(鈴木)が悩んでいるのも、どういう方向に進めばいいかわからないということでしょう。それは選択肢を出す方法と、そこから1つを選ぶ方法を持てば解決すると思う。

「思考の型」があると選択肢を増やせない

鈴木:選択肢を膨大に出すこと、そこから1つ選ぶこと。これが企画の一歩目の肝なんだな。俺はこのプロセスで詰まると、「見えない」と感じる。

福田:その2つのプロセスにおいて、誰しも得意な方法論を持っているんだよ。それが上手くはまらないと、見えなくなるんじゃない。

人はみんな「思考の型」を持っていて、それがあるからこそ難しい。

鈴木:俺は今までのキャリアで、選択肢を出すことより、選択肢を選ぶことが多かったと思う。だから自分の中で、選択肢を出すというプロセスが欠けているのかも。

福田:俺は、企画が得意かはわからないけど、物事を抽象的に見るのは得意だとは思っている。

だから判断に迷いにくいし、抽象化したものを組み合わせて新しいものを作ることができる。

鈴木:福田がゴールを決めて企画を立てられるのは、決め打ちでスペシャルなものを一つだけ生み出しているのではなくて、背後にものすごい選択肢が隠れているんだね。

そのプロセスがかなりの深さ広さを持っているのに、スピードも速いから見えないだけの話で。

福田:そうだね。スペシャルものを生み出せる人というのは、一般的な思考の枠から外れて、自由に物事を選択できてる人たちのことを指すのだと思う。

良いゴールは、最初からそこにあったかのように存在する

鈴木:裏をかえせば、ゴール設定をするのに特殊なスキルは、無いということか。柔軟に考えて、より良いゴールになるための選択肢を増やし、そこから選ぶ努力をする。

腹落ちするまでやる。これを積み重ねるということだね。

福田:そう思う。自分の中で良いゴールはというのは、特別なものではなくて「よく切れる缶切り」みたいなイメージ。ずっとそこにあったかのように、自然に存在するもの。

鈴木:ゴール設定は新しい道を指し示すものであると同時に、今まで交雑されていたものを再定義するという側面もある。

それを見つけるためには、膨大な選択肢を出すこととそこから1つを選ぶことが大切ということだね。

今後、その方法論試してみることにする!

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